システム全般について
■最適な機種の選択方法を教えてください。
■「バイオレッタ
ソーラーギア VS12」シリーズは、寸法、重量、蓄電池容量の大きく異なる、VS12-07C、VS12-11C、VS12-22Cの3種類の各筐体に、標準仕様、寒冷地仕様、高出力仕様の3種類の蓄電池を内蔵した、合計9種類の機種を用意しています。
■まず、給電対象機器の消費電力(複数の場合、その合計)・連続動作時間・動作頻度などの動作パターン、寸法、重量、ご予算などを勘案して、筐体を選択します。
■蓄電池については、一般的な動作環境においては、標準仕様を選択してください。太陽光充電で特に問題となる、直射日光下の高温環境における充電効率が最も高いため、効率的な充電ができます。寒冷地や高山など、低温環境で主に使用する場合は、寒冷地仕様を選択してください。一般的な蓄電池の苦手とする、低温環境における充放電効率が最も高いため、寒冷地でも効率的な充電・給電ができます。高出力仕様は、高負荷の短時間動作やパルス動作が必要な特殊用途にのみ最適な、最も大電流放電特性に優れた仕様です。標準仕様、寒冷地仕様の推奨システム出力を上回る給電能力が必要な場合のみ選択してください。
■後で蓄電池のみ交換して、他の仕様に変更できますか?
■同一筐体の場合、基本的に仕様変更は可能ですが、標準仕様、寒冷地仕様、高出力仕様では、蓄電池の外形寸法と、それに伴う電池格納部内部の寸法が若干異なるため、一部加工が必要となる場合があります。他の仕様に変更される場合は、製品一式を当社あてお送りください。当社にて蓄電池交換、加工、製品ラベルの再発行を承ります。
■電気機器に給電するためには、事前に内蔵蓄電池を何時間充電しておく必要がありますか?
■給電対象機器の消費電力(複数の場合、その合計)および連続動作時間により、事前に必要な内蔵蓄電池の充電時間は大きく異なります。
■直射日光の1時間の照射による蓄電量は、蓄電ロスを考慮に入れると、VS12-07Cで約4.6Wh、VS12-11Cで約6.9Wh、VS12-22Cで約13.8Whです。たとえば携帯電話(〜2W)のように消費電力の小さい機器の場合は、どの機種でも1時間以内の充電で十分に給電が可能ですが、ノートパソコン(20W〜)のように消費電力の大きい機器の場合は、VS12-22Cでも最低2時間、VS12-07Cでは最低6時間は充電しないと、十分に動作することができません。
■電気機器に給電する際、自動車用12V DC-ACインバーターと12V
DC-DCコンバーター(カー・アダプター)では、どちらを使用したほうがよいですか?
■自動車用12V DC-ACインバーターおよび12V
DC-DCコンバーター(カー・アダプター)のどちらでも給電できる機器の場合、給電効率を優先する場合は、12V DC-DCコンバーター(カー・アダプター)を選択してください。一般的に、直流(DC)電源を交流(AC)電源に変換するDC-ACインバーターより、直流(DC)電源の電圧を変換するDC-DCコンバーターのほうが変換効率が高いため、電気的損失を小さくできます。また、ACアダプターが不要になるため、配線も単純でかさばりません。
■ただし、12V DC-DCコンバーター(カー・アダプター)は機器専用のものが多いため、多数の機器に給電する場合など、汎用性を優先する場合は、12V
DC-ACインバーターを選択ください。出力が100Vコンセントですので、1台で幅広い機器に給電することができます。
太陽電池パネルについて
■太陽電池パネルの表面がソフトなので、傷やへこみ、耐久性が心配です。
■「バイオレッタ
ソーラーギア VS12」シリーズ、「バイオレッタ ソーラーギア VS01」を含むすべての当社製太陽電池パネルは、表面をエポキシ樹脂やプラスチックでカバーしている一般的な小型太陽電池パネルと異なり、弾性を有した特殊なポリマー素材にてポッティング加工しています。本素材は、エポキシ樹脂や通常のプラスチックと異なり、温度・湿度の急激な変化や、長期にわたる紫外線照射などの過酷な環境の下でも、体積・形状・外観品質の変化や劣化の極めて小さい、耐候性、耐久性、紫外線耐性に優れた素材であり、復元性を有しているので、多少の傷やへこみは、時間がたてば元通りに復元されますのでご安心ください。
■当社製太陽電池パネルは、すべて、強靭なサブストレートに守られたソフトなポリマーの中にデリケートな太陽電池素子を封じ込める構造により、優れた堅牢性、耐候性、防水性、耐久性を兼ね備えています。
内蔵蓄電池について
■より軽量なリチウムイオン/リチウムポリマー電池を搭載しないのはなぜですか?
■リチウムイオン/リチウムポリマー電池は、重量エネルギー密度が特に高いため、機器の軽量化のためには最適な電池です。ただし、満充電状態で放置したり、高温環境に放置した場合、電池容量が大きく低下してしまう、保存特性上の問題を有しています。この現象は、メモリー効果のような一時的なものでなく、電池の劣化のため、直射日光下の高温環境で放置充電することを前提とした本機のような蓄電池一体型のシステムに搭載した場合、著しく寿命が短くなってしまいます。また、緊急用電源、業務用電源としての信頼性を欠くことにもなります。
■本機には、電圧互換性、安全性なども勘案したうえで、リチウムイオン/リチウムポリマー電池でなく、より適切な充電式ニッケル水素電池を搭載しています。リチウムイオン/リチウムポリマー電池は、その保存特性上の問題があまり影響しない応用製品について、搭載していく予定です。
■継ぎ足し充電によるメモリー効果の影響が心配です。
■充電式ニッケル水素電池は、使い切らずに継ぎ足し充電をくり返すと、使用中の電圧が一時的に低下します。この現象をメモリー効果と呼び、最低動作電圧の高い機器にこうした使い方を続けていると、電池の使用時間が短くなります。ただし、この現象は、電池の劣化ではなく一時的なものであり、単純に、放電終止電圧まで電池を使い切ることで解消します。
■本機の場合、自動車用12V
DC-ACインバーターや12V DC-DCコンバーターに接続して使用することを前提としていますが、どちらの最低動作電圧も、メモリー効果の発生しやすい電圧より低いため、通常の使用において、継ぎ足し充電によるメモリー効果を心配する必要はありません。
■電池残量を正確に知る方法はありますか?
■充電式ニッケル水素電池は、同じ仕様で同じ残量の状態でも、充放電電流や周囲温度の違いにより、電池電圧が大きく異なりますので、本機のように、広範な周囲温度の下で、日射により刻一刻と変動する電流により充電し、かつ消費電力の異なる多様な負荷に放電する場合、残量を正確に測定・表示するのは非常に困難です。このため、本機では、電気機器に正常に給電できる状態のみをオルタネイト形の電池残量表示照光スイッチにより表示しています。
■内蔵蓄電池残量は、市販の自動車用バッテリーチェッカーをシガーライターソケットに接続して、より詳細に表示することができます。また、給電中は、12V
DC-ACインバーターや12V DC-DCコンバーターの動作表示ランプなどでも確認できます。ただし、いずれの場合でも、単純に電池電圧のみの測定・表示となるため、給電可能な残量をノートパソコンの電池残量計のように正確に%や時間で知ることはできません。